緊急座談会「どうなる?ガチンコ5月場所」〈1〉
白鵬の優勝はあるのか? 把瑠都の逆襲、まさかの高見盛の優勝まで
5月8日に始まる「技量審査5月場所」は、大相撲の歴史に残る「記録的な名場所」になるのは間違いない。なにしろ、全取り組みがガチンコで行われる可能性が強いのだ。協会からファンまで徹底した監視のなかで行われ、しかも記録は残る。これでは、力士たちも手を抜けない。
そこで、いったいどんな場所になるのか? このサイトだからできる識者、関係者による事前展望を、以下、座談会でお伝えしよう。
【座談会出席者】
A=元力士
B=ベテラン相撲記者
C=タニマチ関係者
司会=田端良彦(大相撲研究室・代表)
技量審査場所は「本場所」とどこが違うのか?
田端良彦 今回の技量審査場所は、私たち相撲ファンとしては、たまらない場所です。なにしろ、こんな場所はいままでの相撲の歴史でなかったことです。全取り組みがガチンコで行われることが確実なのですから。その辺から、まず、お聞かせください。
B(ベテラン相撲記者) 今回、新生委員会は全8項目にわたる再発防止策を理事会に提出しました。それによると、「監察委員会が敢闘精神に著しく欠けると判断すれば厳重注意し、一場所で2度の注意を受けた力士には、休場勧告ができる」ということになっています。また、「八百長の申し込みや要求、約束をした力士にも処罰範囲を広げる」という規定もあります。
こうなると、どう見ても今回は注射が減る。それでも、ケガや故障が怖くて注射をする可能性はありますが、それはよほどのときでしょう。しかも、すぐバレるようなかたちではできない。力士は大変です。
A(元力士) 力士たちは戦々恐々としていますよ。なにしろ、星回しもできないわけですから。監視委員は7人から11人に増え、ファンの目も厳しくなっていますから、少しでもおかしければ、ヤジも飛ぶでしょう。支度部屋の雰囲気もガラッと変わるでしょうね。
C(タニマチ関係者) はっきり言って、これほどバカバカしい場所はないわけで、ケガ人続出、休場続出となったら、協会はどうするんでしょうね。ともかくやってみなければわからない。そうとしか言いようがないね。
田端 なんといっても一般ファンの注目は、記録が残るということで、白鵬の7連覇はあるか?ですね。これまで6連覇は、大鵬、朝青龍が記録している。しかし、7連覇はない。ガチンコでこれを達成したら見ものです。
A ありえないでしょう。たしかに白鵬は強いが、周囲が弱いというか、手抜きで相撲秩序に安住していたから、63連勝も6連覇もできたわけです。だが、今回はガチンコ勢ばかりか、モンゴル互助会もガチンコで挑むしかないのですから。
B それも注目ですが、今回の本当の注目は、八百長処分で番付に空白ができたことです。なにしろ、幕内7人、十両10人が一気に抜けてしまった。これは、幕下力士には大きなチャンスです。十両に互助会があったのは、陥落することで給金がもらえなくなるのを恐れてですから、これがないとなると、幕下力士は昇進をかけて必死になるでしょう。
A いや、逆に幕下は監視の目が緩いから、注射が幕下まで行く可能性もあります。勝ち越せば十両昇進ですから、見えれば互助会ができて「みんなで勝ち越そう」なんてこともありえるのでは。
C そうだね。誰が進んで「死の土俵」をやるだろうか? 幕下の連中はみな顔見知りだから、仲良くやろうとするかもしれん。
B 改革側の親方たちも、それを見越して、「前日発表の取組を当日発表にする」とか、「支度部屋に監視カメラを入れたどうか」とか、「集音マイクを入れれば、八百長の談合はできなくなる」など、いろいろな提案をした。しかし、これらが実施されたら、相撲は完全な監視社会になり、力士にはプライバシーもなあると、見送られましたね。