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注射の「決まり手」分析 2011年1月場所
ここに示すのは、2011年1月場所での全取り組みを、決まり手別にまとめたもの。決まり手上位は「寄り切り」「押し出し」「叩き込み」の3つ。これが、決まり手のベスト3であり、この3つで全決まり手の半分以上を占めている。
つまり、注射のほとんどは、この3つの決まり手で行われると見てよい。
なぜそうかと言えば、力士がよほどの場合をのぞいて、複雑なシナリオを嫌うからである。大一番を除いて、力士たちは極めて「省力的に」注射を行っている。お金が絡む以上、まず、絶対避けなければいかないのが、「注射崩れ」、次が「ケガ」である。力士がいちばん嫌うのが、投げ飛ばされるなどして、身体に砂がつくこと。また、下手な倒れかたをしてケガをしてしまうこと。こんなことになったら、注射をした意味がなくなってしまう。
したがって、「寄り切り」「押し出し」がもっとも簡単に注射が行えるので、ほとんどの注射相撲は、この2つの決まり手になる。
では、なぜ、3番目に「叩き込み」が入っているのだろうか?
これは、ある注射力士が、次のように解説してくれた。
押し相撲同士のときは、たいてい叩き込みで決めます。そうしないと、立ち会い五分でぶつかることになり、危険だからです。寄り切り、押し出しの場合は、転ぶほうが最初に押し込み、それを受けて勝つ方が押し返すとう展開が普通です。これくらいしないと、すぐにバレてしまいますからね。
本当に外部の目を気にするなら、吊り出しを使うこともあります。吊り出しは、一見すると難しい技に見えますが、じつはいちばん簡単で、力士にダメージもありません。だから、土俵外に倒されたり、投げられたり、うっちゃられたりするのは、注射相撲ではなくガチンコ相撲なのです。
[2011年1月場所 幕内全300取組の決まり手]
寄り切り 89
押し出し 56
叩き込み 30
寄り倒し 19
突き落とし 17
上手投げ 16
引き落とし 14
押し倒し 13
掬い投げ 8
小手投げ 8
突き出し 7
吊り出し 6
外掛け 5
上手出し投げ 5
下手投げ 4
送り出し 4
肩透かし 4
下手出し投げ 2
首投げ 1
送り倒し 1
下手捻り 1
送り投げ 1
内掛け 1
極め出し 1
極め倒し 1
後ろもたれ 1