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●11/09/15●

新聞協会賞に毎日新聞の「八百長メール」スクープが!

 今年度の新聞協会賞が、毎日新聞の「『力士が八百長メール』のスクープをはじめ大相撲八百長問題を巡る一連の報道」に決まった。この歴史的スクープを担当したのは、毎日新聞の東京社会部警視庁キャップの千代崎聖史記者らの取材班。このスクープ報道により、なんと、力士ら25人が角界を追放される前代未聞の事態になった。

 毎日新聞の記事によると、このスクープ報道の経緯は以下のとおり。

初の物証

 警視庁が力士から押収した携帯電話に八百長をうかがわせるメールの記録があるらしい-----。社会部の警視庁担当記者がこんな情報をキャッチしたのは、今年初め。

 警視庁は昨年7月、力士による野球賭博事件の捜査で相撲部屋など三十数カ所を捜索し、複数の携帯電話を押収した。携帯のメールはすでに消されていたが、3カ月以上かけて解析して復元した。警視庁幹部は「この話は絶対に漏れないようにしろ。厳秘だ」と指示したという。幹部が描いたのは、プロ野球だけでなく相撲の取組そのものも賭博の対象になっているという構図だった。だが、賭博と八百長を結びつける証拠は見つからなかった。

 裏取りを進めた記者らは、複数の十両力士らが八百長に関わっていたことや、勝ち星を数十万円で売買していたことを示すやりとりがあることなどをつかみ、2月2日朝刊一面トップで「力士が八百長メール」と特報した。

スクープの衝撃

 「パンドラの箱を開けたな」。警視庁幹部は八百長メールの存在を知った時、そう感じたという。実際、スクープの衝撃は大きく、他の新聞・テレビも一斉に報道。日本相撲協会を監督する文部科学省にはこの日、警察庁から八百長メールの資料が送付され、相撲協会は直ちに特別調査委員会を設置して調査に乗り出した。

 そうしたなか、毎日新聞取材班は、八百長メールの全容を示す4枚の内部資料を入手。資料には、竹縄親方(元幕内・春日錦)、十両・清瀬海、十両・千代白鵬、三段目・恵那司の4人が10年3~6月にやり取りした46通の携帯メールの内容が記され、計13人の力士名が登場していた。

 しかし、当事者である力士を取材すると、「身に覚えがない。自分はやっていない。潔白だ」(幕下・白乃波)、「自分は何も知らない。迷惑な話だ」(幕内・光龍)などと、口々に否定。ただ一人、恵那司だけは「何も言えません」と言葉を濁した。

 一方、調査委は、メールに名前が挙がった力士を順次呼び出し、竹縄親方、千代白鵬、恵那司の3人が八百長への関与を認めた。だが、放駒理事長は会見で「過去には一切なかった」と述べ、従来の角界に八百長はなかったと強調した。

八百長問題の経過

<2月>
 2日 「力士が八百長メール」と特報
    日本相撲協会が特別調査委員会を設置
    竹縄親方(元春日錦)、千代白鵬、恵那司の3人が協会に八百長を認める
 6日 協会が春場所の中止を決定
17日 協会の「ガバナンス(組織の統治)の整備に関する独立委員会」が
    協会改革案を答申。外部理事の増員などを求める

<3月>
 2日 「竹縄親方『40人が八百長』」と報道
 5日 「約20人八百長濃厚」と報道
 9日 八百長の再発防止を目的に協会が設置した「大相撲新生委員会」初会合
24日 「二十数人 角界追放へ」と報道

<4月>
 1日 特別調査委が23人の関与を認定。協会は角界追放を決定。
    北の湖、九重、陸奥の3親方は協会理事を辞任
 5日 この日までに22人が引退・退職届を提出。退職勧告を拒否した
    谷川親方(元海鵬)は翌日解雇された
 6日 協会は夏場所開催も断念。無料公開の技量審査場所の実施を決定
11日 特別調査委が蒼国来と星風の関与も認定。協会は引退を勧告
14日 協会は引退を拒否した蒼国来と星風を解雇
15日 新生委が懲罰規定の罰則強化や監察体制強化など
    8項目の再発防止策を提言

<5月>
 4日 新生委の提言を受け、協会が再発防止策を決定
 8日 技量審査場所初日。再発防止策として力士の携帯電話を一時預かり、
    監察委員を支度部屋に配置した
22日 技量審査場所で白鵬が7連覇。千秋楽あいさつで放駒理事長は
    「信頼回復を目指し、協会員一丸となって努力する」と表明
26日 協会理事会が調査委の最終報告書を了承。八百長の調査が終了

<6月>
 2日 協会が名古屋場所の通常開催を発表

<7月>
10日 半年ぶりの通常開催となる名古屋場所初日

取材班の主な記者

デスク  堀井泰孝、竹中拓実、大矢伸一、栗林創造
キャップ 千代崎聖史、森本英彦、藤野智成
記者   篠原成行、長谷川豊、竹内良和、合田月美、町田徳丈、川崎桂吾、
     前谷宏、袴田貴行、松谷譲二、上鵜瀬浄、飯山太郎、村社拓信、
     和田崇、鈴木英世、倉岡一樹

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