技量審査場所10日目(5月17日)観戦記
中日を過ぎても「やる気なし」、やっばり「遊び場所」だった!
まったく盛り上がらない「ガチンコ」場所。本当にガチンコなのかと目を疑う取り組みが多いのを、この目で確かめるべく、両国の国技館に足を運んだ。
普段ならのぼりがいっぱいの国技館前だが、今回は「がんばろう日本 力士一同」の1本だけ。力士弁当も一軒のみ屋台を出しているだけ。館内のお茶屋もやっていない。これでは、雰囲気からして盛り上がろうというのは無理。
唯一ののぼり「がんばろう 日本」午後1時半、まだ観客もまばら
実際の取り組みも、やはり盛り上がらない。幕下はそれでもまじめにやっていたが、十両から上となると、技の応酬、白熱の投げ合い、土俵際の粘りなどは、ほとんどなかった。
この日の注目の取り組みは、ここまで9連勝の魁聖の10連勝なるか?(相手は栃ノ心)と、横綱・白鵬と稀勢の里の因縁ガチンコ対決。
しかし、この一番は、場内の声援は大きかったが、あっさりと決まった。魁聖は突き放す予定が、栃ノ心にまわしを取られて四つ相撲となって土俵を割り、稀勢の里は突っ張るものの、白鵬に終始突き放されて押し出された。
把瑠都と日馬富士、大関対決
これで全勝は白鵬のみ。残る関門は、今場所を「遊び場所」と言った把瑠都だけだから、優勝は決まりだろう。その把瑠都も、この日は日馬富士の「すそ払い」をかけられて2敗目を喫した。また、琴奨菊は2敗を守って勝ち越した。
この日、いちばんやる気がなかったのが琴欧洲。7敗目を喫して、翌日、休場発表であ 琴欧州、まったく元気なしる。この日特筆すべきは、高見盛の一番など二番が「取り直し」になったこと。その意味では、「ガチンコ」だが、立ち合いが合わず待ったが多すぎることは、ガチンコの難点だ。注射なら、待ったはない。
また、力士たちは怪我を意識するあまり、立ち合いが緩い。土俵も、負けたと思うとあっさり割る。そのため、今場所は、休場がこの日まで1人も出ないという信じられない場所になった。
これがマークシート もうひとつ、この日特筆すべきは、日本相撲協会が試験的にマークシートを配ったこと。協会は、八百長監視のために、十両以上の力士の敢闘精神を観客がマークシート方式で評価する制度の導入を検討してきた。そこで、今回試しに関係者に50枚を配ってテストし、秋場所からは来場者に配布する本格実施を目指すという。
マークシートには十両と幕内の取組が記されており、各力士の相撲内容を「大変満足」から「不満」までの4段階で評価するようになっている。
しかし、こんなことで、本当にオールガチンコは達成できるのか?
今場所を見る限り、興行としての相撲は、八百長(注射)があったほうが、よほど面白い。打ち合わせによる水入りの一番とか、シナリオ通りに土俵狭しと走り回る一番とか、そういうショーアップがなくなった。また技の切れ味もない。ガチンコだと、技が鮮やかに決まらないのだから仕方ないが、これほど間延びした相撲を見せられると、八百長復活を叫びたくなるものだ。