緊急座談会「どうなる?ガチンコ5月場所」〈4〉
白鵬の優勝はあるのか? 把瑠都の逆襲、まさかの高見盛の優勝まで
【座談会出席者】
A=元力士/B=ベテラン相撲記者/C=タニマチ関係者/司会=田端良彦(大相撲研究室・代表)
決まり手はどうなる? NHK中継なしの影響は?
田端 さて、ここからは、土俵がどう変わるのかということをお聞きしたいと思います。じつは、私たちは決まり手を調べて、ガチンコか注射かの判定材料としてきました。
ここに、2011年初場所の決まり手ランキングがありますが、これによると、全300取り組みのトップ10は、「寄り切り 89」「押し出し 56」「叩き込み 30」「寄り倒し 19」「突き落とし 17」「上手投げ 16」「引き落とし 14」「押し倒し 13」「掬い投げ 8」「小手投げ 8」となっています。
A トップ3の寄り切り、押し出し、叩き込みのほとんどは八百長ですね。ですから、これは減ります。ただ、上位力士の八百長は上手投げが多いのです。これも減りますよ。
田端 なぜ、上手投げが?
A それはね、ケガを避けるのは、土俵中央で投げで決めるのが、いちばん安全だからです。土俵際でもつれて投げを打たれるのを力士はいちばんイヤがりますからね。
C 吊り出しも減るよね。
A あれは注射のなかでも見破りにくい難易度の高い技です。絶対、ケガをしませんからね。当然、減りますね。逆に、ガチンコだとうっちゃりなんかが増えるはずです。
B つまりは、ガチンコ場所は土俵際でもつれる勝負が多くなるということですね。これは、面白い。
C しかし、押し出しはみな八百長ではないかと疑われるわけだから、力士はやりにくて仕方ないでしょうな。
A それで、やはり立ち合いが重要になると思いますね。自分のタイミングで立てないと、相撲は7割がた負けます。それで、立ち合いのつっかけが多くなると、私は見ています。力士は、みんな自分のタイミングで立ちたいんです。
田端 すると、立ち合いが長引くわけですね。
A そうです。ガチンコ相撲はみなそうです。
B まあ、自分で仕掛ける相撲は減るでしょう。巻き返しの応酬や、投げの打ち合い、それに土俵際の粘りなどで、相撲時間も伸びるはずです。
C なにしろ、NHKは中継していなんだから、時間がかかってもいい。6時に終わらせる必要はないんだからね。これまで、時間通りに終わっていたのは、八百長のおかげだったわけで、今回は7時ぐらいまでやっているんじゃないの。
田端 見方によっては、こんな面白い相撲はありませんね。
A とはいえ、ケガ人続出、休場続出となったら、どうすんでしょうかね?
B それも含めて、今回は相撲の歴史が大きく変わる場所になるのは間違いないですね。これが、無料で楽しめる。連日、満員御礼になるかもしれません。
田端 そうかもしれません。私も、いまからわくわくしてきました。本日は、お忙しいなか、どうもありがとうございました。