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「中盆」というのは単なる八百長の仲介役ではない
新聞報道は、今回の八百長問題で、初めて踏み込んで「中盆」のことを書いている。たとえば、このように。
大相撲の八百長疑惑で、竹縄親方(元幕内、春日錦)が八百長の仲介役とされる三段目、恵那司に対し、星の貸し借りを助言するなど、恵那司とともに中心的な役割を果たしていたことが4日、関係者への取材で分かった。2人が所属する部屋はともに出羽海一門で、親交が深かったとされる。竹縄親方が、番付が低く他の力士と利害関係にない恵那司の「中立性」に目をつけ、仲介役を担わせていた疑いもあり、日本相撲協会は八百長グループが形成されていった経緯についても調査を進める。(産經新聞2011年2月5日)
「中盆」というのは、言うまでもなく八百長の仲介役である。こういうと、まるで八百長を仕切る悪人のようなイメージになるが、そうではない。この新聞記事が書くように、たしかに、番付が低いことは「中立」に立てるという利点はある。かつて中盆をしていた板井圭介(最高位は小結)も、番付は低く、上位と下位を行ったり来たりしていた。しかし、中盆は中立性だけではできない。
「中盆でいちばん大切なのは、目先が利き、アタマがいいことだ」
と、角界関係者は口をそろえる。
板井もそうだったが、星の貸し借りをきちんと記憶しておかないと、中盆は務められない。板井の場合は、頭がいいうえ、ちゃんと帳簿をつけていたという。力士は、たいていは中卒が多く、これらのことをきちんとできる人間は少ない。また、八百長をする両者の間を取り持つわけだから、両方から信用され好かれることも大事である。恵那司には、そうした面もあったのだ。
(2011年2月8日記)