Opinion - 2
本当に責任があるのはNHKや大手メディア (1)
最近の日本では不祥事が起こると必ず「徹底究明」という言葉が飛び交う。これを発するのは、たいていは世間やファンの声を代弁しているという大手メディアだが、彼らにそんなことを言う資格があるのだろうか?
あるわけがない。
なぜなら、彼らは八百長を知っていたのに、それをこれまで書いてこなかったからだ。相撲中継をしてきたNHKの記者やアナウンサー、大新聞の相撲担当記者、スポーツ紙の相撲担当記者、それからワイドショーのリポーターたちまで、知っているのに知らないふりをしてきた責任は大きい。これまで、相撲の取り組みに関しては、これらのメディアは、報道する側がけっしてしてはいけない「嘘」を報道してきた。
してこなかったのは、週刊誌だけだ。裁判で負けたが『週刊現代』とジャーナリストの竹田頼政氏、また同じく八百長キャンペーンをしてきた『週刊ポスト』を、「いい加減」と断じた大手メディアは、恥を知るべきだと思うが、どうだろうか。
じつは、週刊誌報道こそが、相撲のリアルな姿を読者に伝えてきた。その意味で、週刊誌のほうが大手メディアより、相撲を本当に愛してきたと言えるだろう。
今回の八百長は、前回の野球賭博発覚と違い、「当事者である力士が八百長に手を染めていたことが初めてわかったことで衝撃が大きい」と書いた大手紙の若手記者もいた。これほど、ばかばかしい論説はない。いったい誰が、初めてわかったなどと思っているのだろうか?
相撲にはもともと「ガチンコ」(真剣勝負)と「注射」(八百長)があり、両者が混在しているから、面白い。もっと言えば、注射がなければ相撲ではない。
だから、今回の件で、報道側にいる人々(大マスコミからスポーツ紙、ワイドショーまで)は、本当は相撲を愛していないことがよくわかった。愛しているなら、嘘とわかっていることを書くはずがないし、自分たちがしてきたことを恥じて、それを読者に伝えるべきだからだ。