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〈九州場所予想〉
ストーリーはできあがった! 稀勢の里、涙の初優勝で大関昇進だ!
鳴戸親方(第59代横綱隆の里、本名・高谷俊英=たかや・としひで=青森県出身、59歳)が、11月7日、急性呼吸不全のため、福岡市内の病院で死去した。この訃報に、角界は騒然。「いったいなにが?」と、誰もが首を傾げた。一部では、「まさか口封じでは?」との観測もなされたほど、突然の死だった。
鳴戸親方といえば、つい先日、『週刊新潮』で「弟子への暴行があった」と報じられたばかり。相撲協会は慌てて事情聴取を行い、次回の臨時の理事会で処分を検討する矢先だった。しかし、日ごろから体調はあまりよくなく、6日朝の稽古後、突然体調を崩して病院に運ばれた後、そのまま帰らぬ人となったことがわかり、この疑惑は払拭された。
ただ、この突然の死に、相撲協会は、ほっと一息ついたのは事実だ。
もし、親方が生きていれば、十両の隆の山を太らせる目的でインスリンを注射したことと、稀勢の里が弟弟子を羽交い締めにして暴力行為に加担したことの2点の調査結果を、ファンに報告し、文科省にも報告しなければならなかったからだ。インスリンに関しては、隆の山が「太りたかった」と自ら打ったと話したが、道義的に問題があるとして、なんらかの処分をしなければならなかっただろう。
しかし、こうした疑惑は、親方の死によって、いっぺんに吹き飛んでしまった。鳴戸親方の死の翌日、相撲協会は、「一連の調査は打ち切る」と発表した。
では、こうしたことを受けて、今年最後の大相撲、九州場所の予想に入ろう。相撲予想で大事なことは、場所ごとにあるテーマである。このテーマ(話題)にそって、取組は変化する。
では、今場所の最大のテーマとはなんだろうか?
言うまでもなく、関脇・稀勢の里の大関獲りである。もし、稀勢の里が初優勝して大関になれば、先場所の琴将菊に続いての日本人大関の誕生だから、大いに盛り上がる。八百長に揺れた1年のフィナーレとしては、これ以上の締めくくりはない。
--------ということで、以下は、玄人筋の見方だ
「本当に相撲協会はラッキーだ。疑惑の当事者が死に、その弟子の稀勢の里が大関獲りに挑戦する。まるで絵に描いたようなストーリーだ。千秋楽の優勝インタビューで、稀勢の里が涙を流し、『これで親方の恩に報いることができました。真っ先に報告すべき人がいなくて…』と言えば、こんな感動的なシーンはない。今場所は、間違いなくこのストーリーに沿って演出される」
稀勢の里はガチンコだけにあてにならないという見方がある。大関獲りの最低ラインは11勝とされるが、メンタル面で危ないと考えられてきた。番付発表の会見でも「大関獲りの意識? なにもない。いつも通りの稽古をするだけ」と、相変わらず緊張していたが……。
「しかし、親方が死んだのだから、もう大丈夫。協会全体としてもバックアップするだろう。協会が望んでいることに、逆らう力士はいない。ライバルたちは勝手に転ぶだろう。となると、11勝は間違いなく、優勝まであると考えるのが妥当だ」
(2011年11月8日記)
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