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記録的な不人気に相撲協会悲鳴! ガチンコ場所にしたはずが、観客離れが深刻!
ガチンコ場所にしたら客が戻る、人気が戻ると考えた相撲協会は、とんだ勘違いをしたようだ。なにしろ客入りは、記録的な不振。枡席などを中心に空席がほぼ半分の状態が連日続いているのだ。
初日の9日は日曜日、半年ぶりの本場所というのに、7200人(満席は8000人)で「大入り」を達成できす、2日目となるとガクンと減って4500人。2日目の名古屋は最高気温31度、湿度60%以上という名古屋場所にふさわしい蒸し暑さとなったのに、 愛知県体育館だけは別世界。寒々しい空気に包まれてしまった。
そして3日目の12日になると、8000席のうち埋まったのはたった3800席。テレビ中継で映る客席も、中段あたりは空席ばかりになった。相撲案内所(相撲茶屋)でも委託チケットの3分の1が売れ残った。
当然、NHKの中継放送の視聴率も1ケタ台。2場所ぶりの大相撲中継だというのに、ビデオリサーチの調べでは、10日の初日は放送開始の午後3時5分から5時までが、 関東地区3・5%、関西地区2・7%、名古屋地区6・1%と、ほとんど見られていない状態。5時を過ぎて、 中入り後の後半になったあたりからようやく上向いたが、それでも関東地区8・1%、関西地区7・5%、 名古屋地区10・4%だった。地元だけやっとふたケタという低調ぶりだった。
集客、視聴率ともこのようにお寒い限りだが、土俵内もお寒い限り。懸賞が激減した。たとえば、2日目の懸賞12本は、日本相撲協会が平成15年に全場所の記録を付け始めてから最少で、3日目はさらに減ってたったの10本。 これは、昨年の3日目に比べ、37本もの激減である。
これは、大スポンサー、永谷園の撤退が大きいこともある。懸賞王の高見盛は、そんなことも影響してか、あっさりと負け越して、十両陥落が決定的になった。ところが本人は、「もともとそういうもんだった」とコメントし、協会の窮地など意に介していない様子に、周囲はみな失笑状態。
そんな状況に、とうとう日本相撲協会は悲鳴を上げた。17日、愛知県体育館で理事会を開き、集客力強化のためのプロジェクトチームを立ち上げる方針を固めたのだ。吉野監事は「このままでは(協会の)資金がなくなるので、外の力も借りて立て直さないといけない」と話し、人気挽回のために、以下のような取り組みを実施することになった。
まず、八百長問題で4人減となっていた幕内と十両の番付を秋場所から従来の定員70人(幕内42人、十両28人)で編成する。次に技量審査場所で試験導入したマー クシートを秋場所で正式に実施する。維持員ら観客1000人に配布し、十両以上を対象に見応えのある相撲を取り、票が集まった上位3力士を 連日発表するのだという。つまり、ガチンコの強化策だ。
しかし、これで人気が回復できるのだろうか?
そもそも相撲をガチンコにし、ギャンブル的な要素を排除したために、これだけの不人気を招いた。クロウト筋のファンはバカらしくて相撲を見なくなってしまったのだ。また、協会の思惑と世間のムードを受けた人気力士による演出が不可能になったことで、土俵が盛り上がらなくなった。つまり、ガチンコ強化だけでは人気回復は無理なのである。
もともと相撲のチケットは、タニマチ筋を通してその筋の人間やスポンサー、企業接待用などに売りさばいていた。彼らが一歩引いてしまったら、こういう結果になるのは当然だ。相撲はスポーツではない。ガチンコの勝敗を見るためだけに、ファンは足を運ばない。
(2011年7月18日記)