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フェアなスポーツではない。フェアリー(マカ不思議)だ!
かつて欧米のメディアは長い間、相撲を日本文化を代表するスポーツ(つまり“国技”)と捉え、これに精通することで、日本社会を解明できると信じてきた。
英国の高級紙『ザ・タイムズ』などには、東京特派員の得意げな論調で、よくこうした記事を掲載していた。
しかし、こうした神話は、1996年、八百長告発をした故・大鳴門親方(元関脇・高鉄山)の急死事件でいっぺんに崩壊した。このとき、故・大鳴門親方は日本外国特派員協会に呼ばれ、その席で欧米メディアの記者の質問に答えることになっていた。ところが、その直前に謎の急死を遂げてしまった。
したがって、会見は実現しなかったが、かえってそのことで欧米メディアは相撲の本当の姿を知ってしまったのである。
当時、ある米紙の記者は、しみじみとこう言ったものである。
「これまで私たちは、スモウを神秘的(ミステリアス)で、“みそぎ”という日本文化を象徴するフェアでクリーンなスポーツと見てきた。それが、本国の読者にもウケる相撲記事の書き方で、このテキスト通りに東京発の記事を送ればよかった。しかし、今回のことで見方は変わった。親方が死んだことでかえって疑惑は証明されてしまった。だからこれからは、どうやってスモウ記事を書いたらいいのか、本当に迷ってしまう」
そこで、彼にこうアドバイスしてみた。
「“スモウはフェアなスポーツではなかった。フェアリーなスポーツだった”と、タイトルをつければどうだろう?」
もちろん、彼は笑った。
フェア=公正だが、フェアリー(妖精みたい)と言えば、マカ不思議という意味になるからだ。
(2011年2月20日記)