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第7回 ブックメーカーもまっ青の千代の富士の優勝 - その3 〈朝青龍が継承した優勝パターン、八百長支配

 1990年の九州秋場所(11月場所)の千代の富士の優勝を例にとれば、優勝力士の予想は難しいものではない。ブックメーカーが付ける優勝力士当てのオッズも、その歪みを簡単に手玉に取れることになる。

 また、1998年11月場所の平幕、琴錦の番狂わせ優勝も、じつは番狂わせではないので、高配当を仕留められる。また、1999年初場所の千代大海の初優勝も、ほぼ確実に事前に読める。

 最近の例で言えば、朝青龍の10を超える優勝も読み切れる。朝青龍の場合、千代の富士と同じパターンで、休養・故障明け後は必ず優勝している。また、前評判がよくないときほど、優勝する。「注射名勝負集」File - 13で紹介している2009年1月場所の優勝は、まさに千代の富士パターンの継承だった。

 朝青龍のような注射横綱が、その対戦成績で分が悪いのは、相手がガチンコ力士の場合だ。次が、朝青龍が苦手としてした主な力士だが、いずれもガチンコである。つまり、朝青龍が優勝する場合は、これらの力士と対戦がないか、あるいは不調のときだった。


[朝青龍が苦手とした主な力士] *勝敗は朝青龍からみてのもの

  • 栃東   15勝10敗
  • 安美錦  17勝6敗
  • 若の里  19勝10敗
  • 稀勢の里 13勝4敗


 現在、大関陣にいる琴欧州、日馬富士の優勝も、いずれも状況を見れば、間違いなく予想できる。2005年に優勝なしで大関になった琴欧州は、その後、2年間泣かず飛ばずだった。ほとんどの場所が8勝7敗か9勝6敗、2008年5月場所で初優勝する前の三場所は、場所中に休養2回という惨憺たる状況だった。

 ではそんな状態で、なぜ優勝できるのか? 

 朝青龍はそれ以前の2005年に年間六場所連続優勝などを達成して、すでに実績を挙げきっていた。そこに、白鵬が横綱になり、二横綱時代が始まり、この年は、1月場所が白鵬、3月場所が朝青龍と優勝を分け合った。

 しかも、二場所連続の千秋楽での横綱相星決戦だった。つまり、2008年の5月場所は、この二横綱は小休止のときのであり、琴欧州はそれまでに売った星を回収する絶好のチャンスだったのである。琴欧州は、大関なのにこの1回しか優勝していない。

 また、琴欧州が初優勝を遂げてから奇しくも1年後の2009年の同じ5月場所で、日馬富士も初優勝をしている。成績も同じく14勝1敗で、このときは白鵬との優勝決定戦を制した。

 ただ、前の二場所を見ると、この年もまた1月場所が朝青龍、3月場所が白鵬と優勝を分け合っているのである。つまり、日馬富士も2人の横綱の星回しによって、初優勝したというわけだ。

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