●11/04/15●
相撲協会迷走! 解雇の蒼国来、星風に、まさかの退職金支給
日本相撲協会はどうかしてしてしまったとしか言いようがない。4月14日、東京・両国国技館で開かれた臨時理事会で、八百長に関与したとして引退勧告を受けながら応じなかった幕内・蒼国来(27、荒汐)と十両・星風 (27、尾車)を、予想通り解雇処分としたが、なんと、2人に退職金を支給することを決定したのだ。規定によれば、満額で蒼国来は529万円、星風は220万円となる。
放駒理事長(元大関・魁傑)は「引退勧告を受け入れなかったことで初めて考えた。処分と退職金は別との考え方」と説明したが、この決定には、角お界内外から疑問の声が噴出した。
まずは、関与を否定しながらも引退届を提出した元力士らは、「ふざけている。いったいどうなっているんだ」と、不満の声が。親方連中からも、「これではなんのために解雇にしたのか、示しがつかない」と、怒りの声が出た。
確かに解雇には退職金が支給されるケースもありえる。理事長は「引退勧告を受けた力士にも退職金が出ているから同じ考え方」と話したが、しかし、「それなら処分を出す前に説明すべきだろう」というのだ。
今回の決定は、誰が考えても明らかに不公平である。1日の臨時理事会で引退を勧告された19人の力士は、すべて八百長への関与を否定しながらも、勧告を受け入れ、受け入れることで退職金を得た。それは、ほぼ全員が「解雇だと退職金をもらえないと聞いたから引退届を出した」からだ。提出期限となった5日、力士たちは「生活のため」「家族のため」と語り、なかには号泣する力士もいた。それが解雇でも満額支給となれば、先に引退した力士は報われない。
この不公平さから「あの2人が裁判を起こさないように、退職金を出して丸く収めようとしたのでは」という見方も出た。また、ある元力士の関係者は「先に辞めた力士が団結して、八百長の関与を協会が否定するように提訴する可能性もある」と指摘した。
相撲協会には、2008年までは解雇処分を下した力士らに退職金を意味する「力士養老金」などの支給を中止する規定はなかった。つまり、資金が豊かな協会は、辞める者にはお手盛りで退職金を出していた。ところが、大麻問題で逮捕された元・若ノ鵬らへの退職金の支給が問題視され、2009年2月27日に寄付行為(施行細則)に「解雇処分を受けた者に対しては理事会の決議により力士養老金および勤続加算金を減額し、または支給しないことができる」と明記され、理事会で支給を拒否する決議が可能になった。
つまり、協会が拒否しなければ支給される。