File - 8 《1990年7月 大関旭富士 悲願達成! 2連覇で横綱昇進》
この場所は、千秋楽を前にして、旭富士が13勝1敗、千代の富士が12勝2敗だった。旭富士は前場所で優勝していたので、千代の富士に勝てば優勝し、自動的に横綱になれた。もし負けても優勝決定戦で勝てばいい。ただ、決定戦で優勝を逃した場合はわからない。
こういう場合、注射の常識では旭富士が千代の富士の星を買いにいく。しかし、先に動いたのはなんと千代の富士の方で、「1000万円で売らないか」と持ちかけた。千代の富士は、旭富士が絶対に買いに来ると読んで、そのウラをかいたのだった。
こうなると、旭富士は同額の1000万円で売ってくれというわけにはいかない。千代の富士に打診すると、「倍なら転ぶ」という答えで、結局2000万円を払ったという。
その結果、千秋楽はあっさりと旭富士が勝ち、悲願の横綱を手に入れた。これは注射史上で、星ひとつの最高額思われる。千代の富士の知略は、他の力士を圧倒していた。
注射名勝負、平成2年名古屋場所・千秋楽、注射史上最高値2000万円の結びの一番