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技量審査場所を前にして懸念が噴出、横綱・白鵬と元・蒼国来の明暗
4月25日、日本相撲協会は夏場所に代わる技量審査場所(5月場所)を実施するのに伴い、この日に予定していた新番付発表を行わなかった。これにより、技量審査場所の取組は、初場所の成績により作成され、2月28日に十両以上を「順席」として公表した新地位に基づいて編成することになった。しかし、この地位には、八百長関与を認定されて引退、解雇の17力士の名前も残ったまま。また、幕下以下の新地位に関しては、初日と2日目の取組編成会議を開く5月6日に公表するという。
そこで、「これでは、まったく盛り上がらない。かたちだけの場所を実行してなんになる」(関係者)という声もあがったが、協会として無視のかたちだ。
そんななか、23日には、解雇処分を受けた元幕内・蒼国来(27)の支援者が主催する「蒼国来を囲む会」東京都内で行われた。大阪からも駆けつけた支援者約60人の中には、ツイッターでの蒼国来の呼びかけに応じたファンもいた。
その席で、蒼国来は「信じてくれる人が1人ずつ増えていって、応援してくれれば心の支えになる」と語った。
蒼国来は22日に東京地裁へ地位保全の仮処分申請をしたばかり。体重は10数キロ落ちたという。今後は、支援者のサポートもあり、相撲協会との闘争に入るが、その表情は明るかった。
一方、明るくないのが、5月場所で、本当のガチンコ相撲を取らされる現役力士たち。すでに、稽古は再開されているが、どの部屋もまったく活気がない。
なにしろ、横綱・白鵬(26)が自ら、モチベーション上がらないと告白するのだから、技量審査場所が思いやられる。
白鵬は、25日、東京都墨田区の宮城野部屋で会見し、久々に現在の心境を語った。技量審査場所は、本場所として扱われず、天皇賜杯授与などの外部表彰も行われないが、記録は正式なものとして残る。したがった、白鵬にとっては史上1位に並ぶ7連覇が懸かる場所となるが「記録なんてどうでもいい」と語ったのだ。
しかも、こうまで言ったのである。
「もう二度と泣きたくない。優勝しない方がいいんじゃないかな。『こんな場所は二度とないようにしたい』と名古屋場所の優勝インタビューで言ったけど、それがまた起きた。もう1人(プレッシャーを分け合 う)横綱がほしいかなという気持ちかな」
昨年7月の名古屋場所は、野球賭博問題の影響で天皇賜杯授与が行われず、白鵬は優勝インタビューで号泣した。
白鵬がこうなら、ほかの力士も推して知るべしだろう。
「これではいくらガチンコ場所といっても、本気で相撲を取る力士はいないのでは?八百長が行われるのは、一種の緊張があるから。それがないうえ、注射がないのだから、いったいどんな場所になるのやら」(関係者)
早くも、懸念する声が噴出し始めた。
(2011年4月26日記)