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これはジョークなのか? 今度は相撲協会が「八百長はあった」と証明しなければならない
4月14日、幕内・蒼国来(27、荒汐、中国出身)と十両・星風 (27、尾車、モンゴル出身)が、相撲協会に対して法的措置を講じることを記者会見で明らかにした。
元星風の訴訟は、日本テレビ系列の人気番組「行列のできる法律相談所」に出演している北村晴男弁護士(55)が代理人となる。元星風は「八百長は一切やっていないので、裁判ではっきりさせたい」と訴え、北村晴男弁護士は「八百長を認めている力士の供述のみで関与を認定し、反論の機会も与えなかった」などと、八百長問題を調べた同協会の特別調査委員会を批判した。
また、蒼国来は、「日本に来て8年間相撲を取っていて、そういう相撲(八百長)を取ったことはありません」と話し、代理人の小松初男弁護士は「相撲協会がもう一度処分を考え直すことが第一だが、難しい場合は裁判を通じて身の潔白を証明し、土俵に復帰させたい」と述べた。
この経緯を見れば、どう考えても、今後2人は相撲協会と徹底抗戦となる。相撲協会の対処法次第では、裁判となり、法廷で泥試合が繰り広げられるだろう。しかし、これは、相撲ファンにとっても、角界にとっても、見るに耐えないバカバカしい裁判だ。
なぜなら、これまでの八百長裁判は、週刊現代のようなメディアが相手だった。「八百長だった」と主張するメディアに対して、相撲協会は「事実無根。八百長はない」と争ったのである。ところが、今回は、身内に対して「八百長をやった」と、証明しなければならない。「八百長はない」としてきた張本人が、今度は「八百長はある」と証明するのだ。こんな皮肉はないだろう。
元幕内蒼国来は記者会見で、八百長相撲を取ったとされた前竹縄親方(元幕内春日錦)とは「あいさつをしただけ。しゃべったこともない」と無関係を強調した。聞き取りの場で「春日錦さんをここに呼んでくれ」と主張したが、却下されたという。となれば、裁判では春日錦が証言に立つのか? 春日錦は、相撲協会側の証人となるのだろうか?
そんななか、八百長関与したことを認めて引退した元幕内千代白鵬の柿内大樹氏が15日、所用のため東京・両国国技館の日本相撲協会を訪れ、関与が認定されて解雇された元蒼国来と元星風が法的手段に訴えることに「蒼国来は応援したい」と述べた。また、特別調査委員会の聞き取りが「話せば(退職金を)払う、という取引のようだった」と明かし、引退勧告に応じず解雇された2人に相撲協会が退職金を支給する決定をしたことに疑問を呈した。
しかし、この柿内氏は元星風と八百長相撲を取ったと証言している。とすれば、柿内氏は、元星風の訴訟では、相撲協会側の証人になるのだろうか?
あるタニマチは、次のように言う。
「要するに、素直に八百長を認め、それが相撲だと開き直ればよかった。それで、公益法人資格を取り消されても仕方ないではないですか? 相撲とはそういうものなのです。本来、スポーツでないのにそのように振る舞うからいけないんです。相撲ファンは、相撲がスポーツであろうとなかろうと、ついてきますよ。ただ、今度の訴訟はバカバカしくて話にならない」
(2011年4月16日記)